毎日は”ぽこあぽこ”

IT企業で働くほんわか系プロジェクトマネージャがお送りする「毎日少しずつ」の改善ログ

日本って、私って、ヤバイかも・・・『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ』

毎回ご無沙汰になってしまいます・・・まみくろです。

ずっと前に購入したっきりになってた本を読みました。

 

『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ』(山本 秀樹 著)

という本です。

 

元々、NHKラジオビジネス英語を聴いていたときに、ミネルバ大学に関するインタビューがあって、興味が湧いて購入していたのでした。
感想を一言で言うと、「あ、ヤバイ」でした。
どうヤバイのかをつらつらと書きなぐっていたら長文になってしまいました。
将来の自分の戒めのためにもブログとして残しておきたいなと思います。

ミネルバ大学とミネルバ・プロジェクト

ミネルバ大学とは、2014年9月に開校した全寮制の4年生大学。
といっても特定のキャンパスはなくて、学生は4年間で世界7都市に移り住みながらすべての授業をオンラインで受講します。
この大学を創立したのが2012年にベン・ネルソンという人が設立したミネルバ・プロジェクト社。

ミネルバ・プロジェクト社は、「高等教育の再創造」をミッションに掲げる教育プログラムの開発・提供を行う会社。

ミネルバ・プロジェクトの提唱する理想の高等教育を具現化して、他の高等教育機関のベンチマークとするためにミネルバ大学を創設しました。

 

ミネルバ式教育の特異な点

・アクティブラーニングの徹底

教師から学生への知識の伝達は一切やらない。
教師側は90分の授業のうち、10分以内しか話してはならない。
授業時間の大半が学生同士のディスカッションの時間に充てられる。
→この割合にまず驚きました。確かに「自力で考えられる人」の育成を目指そうと思ったらそれくらい必要なのかも。どこかで試してみたいです。


・授業は完全にオンライン

オンライン授業のためのプラットフォームは自前で開発していて、すべての発言を記録してあり、個人別の発言量も可視化される。
1クラス20人程度で、全員の顔を表示しながら授業は進む。
→発言量の可視化は面白いなー。

リアルタイムで計測して色表示してくれるらしく、教師は記憶ではなく記録に基づいて学生へフィードバックできるとのこと。

 

・入学試験では、「準備できるもの」は出題されない

オンラインの入学試験で問われるのは
「あなたは何者か?」「どのように思考するのか?」「何を成し遂げてきたのか?」
の3セクション。

世界中の学生を受け入れるので、SATとかの特定の国に偏った成績の優劣はつけない。(ただし英語は流暢に読み書き会話できる必要はある)
→その学生本来の実力や考え方とミネルバ大学の教育内容との相性を見るための試験で、その点入試というより企業の採用試験に近いですね。


・教養課程はない

一般的な大学の教養課程に当たるものは一切なし。

なぜなら今はインターネットを使えば誰でも無料で一流大学の人気講義を聴いたり最新の情報に触れられる時代だから。
代わりに1年生でやるのは所謂ポータブルスキルを徹底的に鍛えること。

クリティカル思考、創造力、交渉力、人間関係構築力・・・みたいな「初めてぶち当たる課題を初めて会う人と一緒に解決する」のに必要な能力を身につける。
→これが個人的にはすごい響いたし危機感持ちました。1年生の時点で社会人の8割以上が負けてそう。。

 

・テーマは自分で見つける

2年生で進みたい専攻を決め、自分の研究テーマを模索する。

3年生と4年生で教授や外部の専門家の支援を受けながら、自分の研究テーマについて理論と実証研究を繰り返し、最後に2年間のプロジェクトで自分が発見したことを発表する。
→私が大学生だった頃、進学する意味をあまり深く考えずに場当たり的に進んでしまっていたんだけど、これだけコンセプトとパスがハッキリしてると目的を持って進学できそう。


・キャンパスを持たず、7都市で暮らす

アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国、台湾、インド、アルゼンチンの7都市に寮があり、全学生がこの7都市を4年かけて住むことを経験する。

住んで、街に出かけて、リアルな国際感覚を身につけることを目指している。
また、世界中から集まった多様性ある同級生たちと一緒に暮らしコミュニケーションすることで、完全オンラインなんだけどオフライン交流も濃密、という状態が作れる。
→何とも贅沢な環境・・・私が今高校生だったらチャレンジしてみたかったなぁ。

こういう環境で育った人たちが世界のリーダーになっていくと、マジで世界平和が実現するんじゃないかって思います。

 

起業話として面白かった点

・立ち止まったときにこそ生まれるものがある

創設者のベンさんは、大学生のときにこれからの大学は「学び方を学ぶ」を習得できるようにすべきだと思ってたそう。

その想いは実現せず、ベンさんは大学卒業後の10年間、普通にビジネスパーソンとして過ごし、まずまずの成功を収める(まぁこのまずまずの成功ってのが既にすごいんですが)。
で、40代を前に一度立ち止まって「これからどうしよう?」って考えたんだそう。

そのときに思い出したのが、大学時代に叶えられなかった「学び方を学ぶ」大学のコンセプト。
→ベンさんがビジネスパーソンとしてやってきて成功してたのは、オンライン写真サービス。

このビジネスの延長線上でずっと考えてたら、大学生の頃に感じてた不満は思い出さなかっただろうなぁ。

 

・投資家の最初の反応は「君は狂ってる」

ベンさんがこの大学の構想を投資家たちに話したとき、全員から「それは無理だ」「ありえない」「狂ってる」という反応でした。

そこから数ヶ月の間、誰も賛同者は現れなかったし、ようやくアイデアに共感してくれる人が出てきても、「素晴らしいが実現は不可能だ」というコメントばかりもらってました。
ようやく形になるきっかけができたのは2~3年経ってからとのこと。
→「破壊的創造」って言われるものって最初の段階ではそんなものなんですね。

この期間にベンさんはアイデアを多くの人に語ってました。

そのおかげで基本構想も固まっていったし、ベンのピッチ力(起業アイデアのプレゼン力)も上がっていったとのこと。

 

日本、ヤバいなと思った点

・日本は魅力の低い都市?

寮を設置する7都市について、当初は東京、京都、福岡の3都市が候補地のひとつになっていたが、残念ながら選ばれなかったそう。その理由として、この本の著者は「日本の企業がインターンに消極的」「生活費がアジアとしては高い」「ビザの発行が煩雑」「才能ある人材を活用する意識の低さ」「英語でのコミュニケーション能力の低さ」を挙げている。
→これ、ミネルバのような組織が今後増えてったときに同じように日本は置いていかれちゃうんだろうなとゾッとしました。

それに、こういったプログラムで育った人たちはきっと学生時代を過ごした土地に愛着を持つでしょう。

それが日本でないということは、ハンデになりそうだな、と思いました。
そもそも、才能ある学生たちが満足するインターンの受け入れ先がないってことは、こういう人たちが働きに来る魅力も備わってないってことだし。。うーん。

海外トップ大学進学を志す人のレア度

この本によれば、海外トップ大学進学を志す人は100名程度とのこと。

ミネルバ大学の受験者数も、認知活動をほぼ行ってない韓国の2分の1程度なんだとか。
→え!?そんな少ないの??と驚きました。
でも確かになぁ。学生時代振り返ると、海外の大学へ進学するなんて、思いつきもしなかったもんなぁ。

一方で他のアジアの国々の若者たちがどんどんこういうところに進学してくとすると、そりゃあ国際競争力に差がついてくだろうなぁ。

 

5.私自身もヤバイなぁ

……と「日本」なんて括りで語ってる場合じゃないかも、とも思いました。
ここ数年、他の人から話を聞いたり意見交換をすることがどんなに大切か身をもって感じてます。
だけど、日本語話者としか交流しないってことはコミュニケーションの範囲がすごく狭いってことなんじゃないかなぁ。
「特に困ってないし」「必要になってから勉強しても遅くないし」と言い訳して国内の輪の中で生きてきたけれど、それってかなりヤバイことなのかも。


そんなわけで、2022年は国外にも目を向けてインプット・アウトプットするようにしてみたいなと思わせてもらいました。